前回、Let’s SplitをベースにType-C左右間接続などのオリジナル要素を盛り込んだ左右分離型キーボード「れつぷり!!」を作りました。
今回はそれをベースに、ロープロファイル版の「れつぷり!!」を作りました。
動機
Cherry MX系キースイッチに対応したオリジナルの「れつぷり!!」(以下通常版)はそれはそれで満足していたので、いくつかの修正箇所を反映してキーケットにも出そうかなとか思っていました。
しかしながら、個人的にこれまでロープロファイルキースイッチを使ったキーボードを作ってこなかったというのもあり、修正がてらKailhのChoc系キースイッチに対応した「れつぷり!!ロープロファイル版」(以下ロープロ版)を作ることにしました。
変更点
外観
ケースの見た目は通常版とは異なるものに変わりました。ロープロ版なので高さを全体的に落としつつ、それに合わせてタイピング角度も5度から3度に平べったくなりました。巷のロープロファイルなキーボードは持ち運びや薄さの強調のために傾斜を一切つけずに水平にしているものもあります。
しかしこのロープロ版は通常版から引き継いだ電源基板のおかげで厚さがどうしても出るのと、フットプリントはパスポートサイズ以下を維持したかった為、通常版と同じくメイン基板の下に電源基板が入り込む構造にするため角度を付けました。それでも通常版よりだいぶ薄く作ることができました。
ケース的には通常版の一番薄い部分(手前)と、ロープロ版の一番厚い部分(奥)がおなじくらいです。
また、通常版では無かった要素として、バッジによる左右の識別ができるようになりました。通常版は実は「一つの3Dプリントパーツだけでケースを構成する」という要件を設けていたせいで左右の区別が難しい問題がありました。
左右間接続のポートは色違いのUSB-Cコネクタを使用していたのですが、机に置く段階で左右を見分けるためにポートを覗き込むのが普通に面倒だったことが発覚。今回のロープロ版は左右間接続のポートの部分に色違いのバッジを付けて見分けがつくようにしました。バッジの固定はそのままパチッとはめ込むだけでくっついています。
基板
基板もロープロファイル対応のために一から作り直しました。今回はKailhのChoc V1/V2に対応しています。ソケットは同一なのですが、フットプリントが一部違うのとマイコンであるRP2040の配置のためにChoc V2の3ピンがあるタイプ(標準の赤/青/茶)には対応していません。
配線もCherry MXより地味に難しく、通常版とは異なりメイン基板には4層基板を採用しました。今までこの回路規模で4層を使う必要はほぼなかったり、デバッグが難しくなるという理由で避けてました。しかしホットスワップソケットを一部だけ上下逆にするとかしてスペースを確保するのが嫌過ぎたので基板を4層にして回避しました。
GNDと電源(3.3Vと1.1V)が内層に割り当てられていますが、電源が内層に行くだけで随分と配線は楽になります。またインピーダンス的にも有利になるので、USBの配線が細くできたりとメリットは多めです。
ケースへのマウント
基板の設計は変わりましたが、メイン基板と電源基板に分かれた構造は変わっていません。なのでまずケースに電源基板をねじ止めします。
メイン基板のマウントは前回と異なりネジ径をM3からM2へ変更しました。M3だとキーの間にドライバーが入れられず、分解のためにキーキャップの2/3を取り外す必要があったためです。
ブッシュもM2ネジに合わせたものへと変更しました。前回は汎用ブッシュでしたが、今回はドローンとかの基板固定に使われるブッシュになりました。用途は違えど基板の固定用なので、無駄に表面に出っ張ったりせずに固定できていい感じです。
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まとめ
今回はロープロファイルキースイッチに対応したれつぷり!!を設計してみました。特にケースの設計は全体的に作り直したため納得のものができるまでに何回かやり直しが発生しましたが、最終的にそこそこよさそうなものができたので良かったです。
おわり